Pyramid のインストール

インストールの前に

Pyramid を利用するためにはバージョン2.6以上の Python が必要です。

Pyramid は Linux, MacOS X, FreeBSD といったポピュラーな UNIX 系 システム上で Windows 上で動作するのと同様に動作します。PyPy (1.9+) 上 で動作するシステムとしても知られています。

Pyramid のインストールは C 言語のコンパイルを必要とせず、 先述した条件を満たす Python のインタプリタだけで十分なのです。

Python のインタプリタが用意されていない場合 (UNIX)

もしもあなたが利用するシステムに Python のインタプリタが存在せず、 UNIX を利用していた場合、利用している OS のパッケージ・マネージャー もしくは 開発ツールを内蔵した各種UNIXに対しては簡単に ソースコードから Python をインストールできます。

パッケージ・マネージャーを利用する方法

Python のインストールには各自のシステムの “パッケージ・マネージャー” を 利用できます。各システムのパッケージ・マネージャーは若干異なっていますが、 それらの “雰囲気” はほぼ一緒です。

例えば、Ubuntu Linux のシステムでは、Python 2.7 のインタプリタを インストールするパッケージ・マネージャーを利用するには、以下の コマンドを利用します。

$ sudo apt-get install python2.7-dev

このコマンドを入力することで、Python のインタプリタと開発ヘッダファイルが インストールされます。それらのヘッダは Pyramid 自体でなく、Pyramid に 依存した一部の C 言語拡張で利用されます。

一度この作業を行えば Python のインタプリタはシェルプロンプト で python2.7 と入力することで利用可能になります。

ソースコードからコンパイルする方法

ソフトウェア開発のためには “システムの” Python インタプリタ でない Python インタプリタを利用するほうが便利です。Pyramid の 開発者は開発目的でシステム上の Python を利用することほぼ無く、 自身でコンパイルしたインタプリタを利用します。Python のコンパイルは 通常簡単な物である一方、”システムの” Python はしばしば Web 開発に 適しているとは言えないコンパイルオプションが適用されています。

UNIX システム上でソフトウェアをコンパイルするには、一般的には 開発ツール類を必要とします。これらは大抵の場合パッケージ・マネージャー を利用してインストールできます。例えば、 Ubuntu Linux システムでは 次のように入力することでインストールが行われます。

$ sudo apt-get install build-essential

Mac OS X では、 XCode をインストールする事が同様の効果を持ちます。

一度システムに開発ツールをインストールすれば、先のシステムに対しては 下記のように入力することで Python 2.7 を ソースコードから インストールできます。

[chrism@vitaminf ~]$ cd ~
[chrism@vitaminf ~]$ mkdir tmp
[chrism@vitaminf ~]$ mkdir opt
[chrism@vitaminf ~]$ cd tmp
[chrism@vitaminf tmp]$ wget \
       http://www.python.org/ftp/python/2.7.3/Python-2.7.3.tgz
[chrism@vitaminf tmp]$ tar xvzf Python-2.7.3.tgz
[chrism@vitaminf tmp]$ cd Python-2.7.3
[chrism@vitaminf Python-2.7.3]$ ./configure \
        --prefix=$HOME/opt/Python-2.7.3
[chrism@vitaminf Python-2.7.3]$ make; make install

これらのステップを踏めば、Python のインタプリタはシェルプロンプトで $HOME/opt/Python-2.7.3/bin/python と入力することで利用可能に なります。

Python のインタプリタが用意されていない場合 (Windows)

Windows システムで Python のインタプリタがインストールされていない場合、 python.org’s download section から 実行可能な Python 2.7 系のインタプリタをダウンロードしてインストールする 必要があります(リンク先で “Windows Installer” と表示されているファイル)。 そのファイルをダウンロードした後、実行ファイルをダブルクリックし、 インストールのプロセスを進めます。 Python for Windows extensions をインストールする 必要があるかもしれません。

Warning

Windows 上に Python をインストールした後は、コマンド・プロンプトで python と入力して Python を呼び出すために、 C:¥Python27 ディレクトリを環境変数の Path に追加する必要があるかもしれません。 それを行うには マイコンピュータ を右クリックし、 プロパティ –> システムの詳細設定 –> 詳細設定 –> 環境変数 と 選択していき、環境変数 Path の末尾に ;C:¥Python27; を追加 してください。

UNIX システムに Pyramid をインストールする

“仮想の” Python 環境にインストールするのが最上の解決策です。この方法は virtualenv パッケージを利用する事で可能になります。virtualenv の 利用はあなたの環境の Python と互換性のないパッケージを Pyramid がインストールしてしまう事態を防ぐ一助にもなります。

Pyramid をインストールする virtualenv をセットアップするには、 最初に setuptools もしくは distribute がインストールされて 居ることを確認する必要が有ります。そのためには、 Pyramid を動作させる Python 環境下で import setuptools と入力してください。

setuptools もしくは distribute が正しくインストールされている場合、 以下のように出力されます。

[chrism@thinko docs]$ python2.7
Python 2.7.3 (default, Aug  1 2012, 05:14:39)
[GCC 4.6.3] on linux2
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import setuptools
>>>

setuptools もしくは distribute が正しくインストールされていない場合、 以下のように出力されます。

[chrism@thinko docs]$ python2.7
Python 2.7.3 (default, Aug  1 2012, 05:14:39)
[GCC 4.6.3] on linux2
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import setuptools
Traceback (most recent call last):
  File "<stdin>", line 1, in <module>
ImportError: No module named setuptools
>>>

import setuptools によって上記の import setuptools が発生した場合、 setuptools あるいは distribute を手動でインストールする必要が有ります。 上記のエラーは Mac OS X 上で Python 2.7 系のインタプリタを利用した際に 出力されるエラーであることに注意して下さい。より新しい Python や異なる プラットフォームを利用している場合は異なる出力となる場合が有ります。

もし “システムの” Python ( OS の配布元、 Fink もしくは MacPorts のような サード・パーティ製パッケージ管理システムによってインストールされている ) を利用する場合、setuptools もしくは distribute のパッケージをシステムの パッケージマネージャーを使用してインストールできます。もしそれが不可能、 あるいは標準でインストールされているバージョンの Python を利用する場合は “手動で” setuptools や distribute をインストールする必要が有ります。 setuptools や distribute を “手動で” インストールするのは パッケージマネージャーがお誂えむきに setuptools を内蔵していたとしても、 行うに値します。

Python 2 を利用している場合は、 setuptools をインストールします。 Python 3 を利用している場合は、 distribute をインストールします。 以下にそのそれぞれ両方の方法を示します。

Python 2 に対応した setuptools をインストールする

Python 2 の環境に setuptools を手動でインストールするには、 はじめに ez_setup.py を ダウンロードします。続いて setuptools をインストールしたい Python 環境下でそのファイルを Python インタプリタで呼び出します。

$ python ez_setup.py

このコマンドが一度呼ばれると、setuptools がインストールされます。 ファイル権限に関係するエラーでコマンドが異常終了する場合は、 スクリプトを呼べるように管理者権限での実行が必要になるかもしれません。 それを行うためには、以下を実行して下さい。

$ sudo python ez_setup.py

Python 3 に対応した distribute をインストールする

Python 3 環境下では setuptools が動作しません。その代わりに setuptools の フォークである distribute を利用できます。インストールするためには、 distribute_setup.py を ダウンロードし、distribute をインストールしたい Python 環境下でその ファイルを Python インタプリタで呼び出します。

$ python3 distribute_setup.py

このコマンドが一度呼ばれると、distribute がインストールされます。 ファイル権限に関係するエラーでコマンドが異常終了する場合は、 スクリプトを呼べるように管理者権限での実行が必要になるかもしれません。 それを行うためには、以下を実行して下さい。

$ sudo python3 distribute_setup.py

virtualenv パッケージのインストール

setuptools あるいは distribute がインストールされれば、 virtualenv パッケージをインストールできるようになります。 virtualenv を setuptools が利用できる環境にインストールするためには、 easy_install コマンドを利用して下さい。

Warning

Python 3.3 は従来の枠を超え、機能的に virtualenv と似た pyvenv を内蔵しています。しかし、私達は virtualenv の利用を推奨します。 それは技術的な根拠による推薦ではなく、このガイドの著者が複数の仮想環境 を利用したセットアップについて満足の行く説明ができないためになります。 我々はこのインストールの手引きをチューリング完全なものにしたいのです。

もしあなたが pyvenv を利用したい場合、手動で仮想環境に distribute のようなソフトウェアを手動でインストールする方法について理解している 必要があります。この手引きではその領域については取り扱いません。

$ easy_install virtualenv

このコマンドが完了すると、たった今インストールされた virtualenv パッケージの バージョンを出力してくれます。コマンドが権限によるエラーで終了する場合は、 以下のようにシステムの管理者権限でインストールする必要が有ります。

$ sudo easy_install virtualenv

仮想の Python 環境を構築する

あなたの Python 環境に virtualenv がインストールされると、 仮想環境を作ることができるようになります。環境を利用するためには、 以下のように宣言して下さい。

$ virtualenv --no-site-packages env
New python executable in env/bin/python
Installing setuptools.............done.

Warning

virtualenv の環境が 非常に重要な場合に --no-site-packages オプションを利用します。このフラグは Pyramid が必要とする パッケージの依存情報を独立したものにするために利用します。 --no-site-packages を指定しなかった場合 Pyramid が virtualenv 環境に正しくインストールされない可能性があり、 インストールされたとしても既にインストールされている “メインの” Python のサイト・パッケージに依存してしまうため 正常に動作しない場合があります。

Warning

virtualenv スクリプトを sudo 権限で実行 しないで ください。通常ユーザーで十分問題がなく(むしろ 望ましい) virtualenv 環境を作る事が可能です。

以下のコマンドは virtualenv 環境内の env ディレクトリ内で “bin” ディレクトリを呼び出して実行する必要が有ります。

Pyramid を仮想 Python 環境にインストールする

virtualenv による env 環境を構築した後は、以下のコマンドを ここまでの過程で作成したvirtualenv (env) ディレクトリ内で 入力する事で Pyramid をインストールできます。

$ cd env
$ bin/easy_install pyramid

easy_install コマンドは依存関係にある数多くのパッケージをインストール するため、完了するには前回入力した時よりも長い時間を要します。

Windows システムに Pyramid をインストールする

Python 2 もしくは Python 3 がインストールされた Windows 環境で Pyramid を 利用できます。両方のバージョンに関して次に示します。

Python 2 を利用する Windows の場合

  1. Python 2.7 がインストール されていることを確認して下さい。
  1. Python for Windows extensions をインストール して下さい。Python 2.7 に対応したバージョンをダウンロードし、 直前のステップで確認した Python を利用する環境下にインストール してください。
  1. ここまでの過程で発見・インストール・取得した Python 環境に setuptools の最新版をインストールします。 ez_setup.py を ダウンロードしてコマンドプロンプトで Python 2.7 の python インタプリタに渡して動作させて下さい。

    c:\> c:\Python27\python ez_setup.py
    
  1. virtualenv をインストールするために Python 環境の bin/easy_install を利用してください。

    c:\> c:\Python27\Scripts\easy_install virtualenv
    
  1. ワークスペースを作成するために Python の virtualenv を利用して 下さい。

    c:\> c:\Python27\Scripts\virtualenv --no-site-packages env
    
  1. env ディレクトリに移動します。

    c:\> cd env
    
  1. (オプション) シェル環境と virtualenv 環境とを関連付ける ために Scripts¥activate.bat を利用する事を検討して下さい。
  1. Pyramid を取得するために easy_install を利用すると、依存する パッケージもインストールされます。

    c:\env> Scripts\easy_install pyramid
    

Python 3 を利用する Windows の場合

  1. Python 3.2 がシステムに インストールされている事を確認して下さい。
  1. Python for Windows extensions をインストール して下さい。Python 3.2 に対応した物をダウンロードし、直前の ステップまででインストールした
  1. ここまでの過程で取得・インストール・検出された Python 環境に 最新の distribute をインストールします。 distribute_setup.py をダウンロードし、利用している Python 3.2 の Python インタプリタにコマンドプロンプトで渡して動作させて下さい。

    c:\> c:\Python32\python distribute_setup.py
    
  1. virtualenv のインストールのために Python の bin/easy_install を利用して下さい。

    c:\> c:\Python32\Scripts\easy_install virtualenv
    
  1. Python の virtualenv を利用してワーク・スペースを作成します。

    c:\> c:\Python32\Scripts\virtualenv --no-site-packages env
    
  1. env ディレクトリに移動します。

    c:\> cd env
    
  1. (オプション) シェル環境と virtualenv 環境とを関連付ける ために Scripts¥activate.bat を利用する事を検討して下さい。
  1. Pyramid を取得するために easy_install を利用すると、依存する パッケージもインストールされます。

    c:\env> Scripts\easy_install pyramid
    

インストールされた物

Pyramideasy_install を利用してインストールすると、WebOb、 PasteDeploy 等ののライブラリがインストールされます。

加えて、 Creating a Pyramid Project に記述されている、新たに Pyramid の プロジェクトを簡単に作る事ができるライブラリが登録されます。